[A-12]
認知症・軽度認知障害の方やそのご家族のためのICT コミュニケーションツール「わすれなびと」のパイロットスタディについて
2018/04/19  16:00 ~ 16:45

東京大学 医学部附属病院 
神経内科 
岩田 淳 氏

 
概要

止めどを知らない高齢化の進展を原因とする今後の認知症患者の爆発的な増加に伴い,その診療に伴う社会的負担を軽減する事が求められる.認知症の様々な症状はその患者の人生を反映した様々な多様性に富んでおり,Person centered careの実践が最も重要な疾患であるが,それは必ずしも容易ではない.また,今後のPersonal Health Recordの普及を考えた場合,高齢者,それも認知症以外に様々な慢性疾患をかかえている事が想定される患者群は適切なモデルとなり得る.「わすれなびと」はこれら2つの実現を目標としてICTを利用したシステムの実証実験であった.自宅に居ながらにして電子カルテ情報の閲覧を可能とし,また医師とのパーソナルなコミュニケーションが可能となるシステムに加え,薬剤師による服薬支援情報の管理も可能となるシステムを使用して1年3ヶ月の間11組の被験者に協力頂いた.その結果,①プロジェクトに参加した被験者は医師や薬剤師にタイムリーに相談可能,②服薬支援により,医師と服薬状況を共有,③定期アンケートの実施により,患者の日常の様子を把握することで次回外来診療の予習を可能にする,などのメリットを検証することが出来た.一方で,システム運用の観点では,被験者が積極的にシステム入力をおこなう動機づけの難しさや,年配の患者やご家族の方の入力が困難であることなどの課題点を把握できた.